日本で一番初めの通訳のお仕事はいつ?
「通訳の英語 日本語」という本を読みました。
通訳の歴史、通訳の仕事事情、通訳者になるための技術など、いろいろな角度から通訳という職業について見ることができ、とても興味深く読み終えることができました。
そもそも、通訳という仕事っていつからあるのだろうという疑問から読み始めました。通訳についての最初の記録は日本書紀に残されているそうです。遣隋使節団の通訳者の名前が記されているようです。その人たちは、「通事」「訳語」という漢字で、それぞれ「おさ」と呼ばれていたそうです。
よく考えてみれば、遣隋使、遣唐使に始まり、大陸に渡る留学生や僧侶、貿易商には、それぞれ外国語でのやりとりが必要だったわけで、そこに通訳という仕事が介在していたことは簡単に想像できます。何語が使われていたかというと、中国語、ポルトガル語、オランダ語というように、その時々に必要な言語に変わっていったのでしょう。初めての英語の通訳者というと、オランダ船航海士 William Adams (三浦按針)だということです。1600年オランダ船航海士として勤務中に九州に漂着し、その後江戸幕府の通商交渉の際、日英通訳を務めたそうです。その後、日本のオランダ通詞が英語を学び、日米和親条約締結など歴史的に重要な外交場面で、英語通訳者が活躍されたそうです。
歴史を学ぶときには、「オランダと交渉」とか「○○条約締結」などと、外国との交渉が難なく行われたかのように出てきます。しかしそこには、外国語での話し合い、つまりたくさんの通訳者の支えがあったことを知った今、意思疎通の難しさや文化の違いでの困難や苦労があったことを想像し、それらの史実が、今まで感じていたより大変なことのように感じられます。
通訳の現場がその後変化していった様子、筆者のサミットなど実体験、英語や日本語の訳しにくい言葉についての解説、そこから見えるそれぞれの言語の特徴、英語上達への考え方などなど、200頁内に納められているとは思えないような濃縮された一冊でした。
参考文献:小松達也『通訳の英語 日本語』文春新書、2003
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