日本語訳をするときは、妄想には蓋をして
関係詞などを使った複雑な英文を読むようになってくると、日本語に訳すとき、後ろから訳すということが、なんとなく癖になってくると思います。それは、英語は後ろから修飾する語(後置修飾語)、日本語は前から修飾する語(前置修飾語)という理解からきているのだと思います。
1. ぼくが探していた本 ⇄ the book that I have been looking for
とはいっても、この修飾の理屈はなんでもかんでも適応できる訳ではありません。
例えば、英語でほとんどの場合に文頭にくる主語は、日本語にするときも初めに訳さなければ、文の主がなにかわかりません。ですが、主語をそっちのけにして、文の後ろから順々に訳してしまうと、内容もよくわからなくなり、わかっている部分を強引に繋げて、内容を想像して、英文とかけ離れた日本語訳ができるということは、よく見られます。
2a. He said nothing to help me solve the problem,
2b. 問題を解決するようなことは何もなかった。
2c. 問題を解決するように助けられなかった。
2d. 彼は、私が問題を解決できるようなことを何も言わなかった。
先日の講座内で見られた、2aの英文を訳してみましょうというときに出た答えです。
2b と 2c は、日本語では不自然さもない訳に見えますが、想像で繋げられた日本語訳です。2b は "said" "help" の部分がありませんし、2c は "said nothing" の部分がありません。そして、両方とも主語 "he" と 助けてもらう目的語 "me" が訳されていないので、誰が誰をどうしたのかよくわかりません。
2d は、日本語としては不自然さは感じますが、忠実な訳だと言えると思います。
2e. 彼は言わなかった(He said nothing) + 私を助ける (help me) + 問題を解決する (solve the problem)
→ 2d. 彼は、私が問題を解決できるようなことを何も言わなかった。
主語をまず探し、主語に対する動詞はなにか、その動詞に対する目的語はなにか、後ろにずらずらついていたら、その目的語を修飾しているのか・・・と考えていくと、必ずしも後ろから訳さなくてもよく、最後に自然な日本語に作りかえて仕上げればよいのではないかと思います。
という私も、妄想日本語訳をたくさん作ってきました。その妄想がぴったりはまれば、すばらしい日本語訳になるのですが、妄想が広がりすぎるとずいぶんかけ離れた内容で、その英文をわかった気になっていました。模範解答の訳など見ると、自分の素晴らしすぎる妄想に苦笑したことは何度もあります。今でも時々、気を抜くと妄想の箱が開いています。
ですが、英語から日本語も「主語、動詞」、英語から日本語も「主語、動詞」をしっかり組み立てると、そのような妄想も減ってくるのではないかと思います。
1文が長くなればなるほど、妄想も果てしなく広がりそうですが、ちょっと冷静になって丁寧に読みほどいていきたいものです。
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