備忘録:国際シンポジウム「第二言語習得としての英語習得」

昨日行われた第二言語習得(second language acquisition)についてのシンポジウムに参加しました。白井恭弘先生とバトラー後藤裕子先生の基調講演についてのまとめ。

やはり、第二言語習得というのは、母語習得とは違い、理論で割り切りきれないものであり、習得の道には簡単な答えがないというポイントがおもしろいと思いました。


①外国語学習の科学 (白井恭弘先生)

外国語学習における普遍性と個別性があり、いくつかある個別性の中でも、強い学習動機と効果的な学習法というのは、環境によって変えられるものである。効果的な学習法とは、言語の本質にあった学習、言語習得の本質にあった学習、個人の指向に合った学習法である。

そもそも、言語ができるというのは、文法能力(発音・単語・文法)、談話能力、社会言語学的能力、戦略的能力の全てが満たされているものである。それらの能力を延ばすための学習法を考えると、規則で割り切れる部分と記憶に頼る部分に分けることができるが、言語はそんなに理論的なものではないので、両方を意識する必要がある。また、インプット仮説と自動化理論から言語習得の本質を探っていくと、言語習得のメカニズムと意識的な学習法が見えてくる。


②これからの言語教育で留意したいこと(バトラー後藤裕子先生)

第二言語環境下で行われた研究結果から、早期に学習を開始したかどうかということよりも、どのくらいの量と質のインプットを得ることができたかどうかということが、外国語学習の重要な要素であることがわかっている。インプット量と質の向上につながるためには、強い動機付けとその維持も大切となってくる。

次に、テクノロジー世代(生まれた時からテクノロジーに慣れ親しんでいる世代)のプロジェクトから見てくる学習の動機付けを考察してみる。というのは、テクノロジー世代は、学習に対する態度や認知プロセスが、前の世代とは異なっていると考えられている。情報処理スピードや並列処理が得意、テキストよりも映像を先に注目、アクティブ・ラーニングを好むなどデジタルに慣れ親しんでいる世代だからこその新しい学習観を考える必要があるようだ。

また、グローバル・イメージと結びつきやすい「英語」の学習は、日本だけでなく世界的に見ても過熱傾向にあるものの、社会経済力による格差の問題が、学習格差の問題に如実に表れているという事実もある。外国語としての英語学習と母語としての英語習得のデータから見えてくる、英語学習についての課題についても取り組んでいく必要がある。


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