切っても切れない縁

日本語を英語に訳してみたら文が成り立たなくなってしまった、というおもしろい現象の例を挙げてみたいと思います。


1. 「彼に禁煙するよう説得したけど、聞いていなかった。」

2.  " I persuaded him to quit smoking, but he wouldn't listen to me."


1.は、よく聞くような日本語のフレーズです。これを英語に訳したのが、2.ですが、この文は、文として成り立っていません。というのは、この文の動詞 " to persuade "は、単に「説得する」という意味ではなく、「何かを説得して、相手もその内容に説得された」という結果状態までも含意しているのです。よって、「説得したけどダメだった」という英語は意味として、存在することはないのです。

1.を英語にすると、さしずめこんなところでしょうか。

3. I tried to persuade him to quit smoking, but he wouldn't listen to me.


今日のタイトル「切っても切れない縁」も、英語に直訳した場合は、文として成立しません。(" the connection which I tried to cut, but I couldn't. ")  上の例と同じように、「切る」という英単語 " to cut " は「切るという動作を行ったら、切れた」という結果も含意するからです。

「切っても切れない縁」という言葉には、「この縁を思いきって切ってはみたんだけど、やっぱり切りきれなかった」というあきらめの気持ちまでもが表されている、いかにも日本語らしい表現だと思います。

ちなみにこの言葉の英訳ですが、辞書では " a fatal connection " (運命的な繋がり)と示されています。


この違いは、日本語と英語の重視する点が違うというところから来ているようですが、それはまたの機会に書きたいと思います。


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