注意書きに物申す vol.1

昨日、某商業施設のお手洗いに行ったときのこと。入り口付近に、オムツ交換台があったのですが、そこに書かれていた英語について思ったことを書き連ねたいと思います。


まず、オムツ交換台について「ダイアパー チェンジテーブル」と書かれていたのですが、「オムツ交換台」の方がわかりやすいのではないかと思いました。しかも、オムツという意味の英単語 "diaper" は、確かにローマ字読みだと「ダイアパー」になりますが、まん中のaは、弱音、または消音のaなので、ほぼ発音しません。あえて言うなら「ダイパー」の方が、英語に近いと思います。違和感を感じてしまい、普段はあまり目にしない、隣に書かれていた使用方法もまじまじと見てしまいました。使用方法と注意事項については、日本語とその英訳がイラスト入りで書かれていました。

下記は、その注意書きについてです。


「日本語」   "英語"

①「落下注意」   "Caution!   Drop."

②「側を離れないでください」   "Do not leave."

③「目を離さないでください」  "Keep watch."


②はさておき、まず③です。keepの後ろに動詞を持ってくるときは、後ろの動詞をing形にして「〜し続ける」という意味になります。keepとwatchを同時に使いたいのであれば、"Keep watching." というべきだと思います。「目を離さない」であれば、"Keep an eye." の方が自然に思いますが、どうでしょうか。

①については、直訳すると「注意! 落とせ!」です。言いたいことはわかりますが、この表現では、言いたいことと意味が真逆になってしまいます。もう一つ付け加えると、"drop" は他動詞なので「〜を落とす」という目的語が必要です。「注意!」も "Caution!"  をよく見かけますが、"Attention!" の方が自然に感じます。(あくまで私見です。)


この注意書きについて批判するつもりは、全くありません。

ただ、話し言葉はともかく、書き言葉、特にこのような公共の場では、日本語か外国語かの区別なく、正しい言語を使うべきだと思うのです。外国語だからといって「通じればいいや」では済まされないと思うのです。大げさかもしれませんが、日本での英語の使用レベルまで問われても仕方ないとも思うのです。

ただ、注意書きの表現というのは、一言で目を引くよう工夫して使われていると思います。漢字一文字で意味を表したり、短時間で注目を集めることができるのは、日本語の良さでもあると思うのです。ただし、英訳の場合は、どうしても一単語では対応しきれないと思うのです。というのも、英語の場合、このような使用方法は、長々とした説明文で書かれています。これが、日本語と英語の言語としての特徴的な違いでもあると思うのです。


言語的特徴が違うのに対訳をしようというのは、難しい側面もあると思いますが、そこを理解した上で、多言語間の辻褄を合わせていくのも翻訳のおもしろさだと思います。


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