知らない概念を英語から日本語にする作業

私たちが生まれた現代は、英和辞書があり、和英辞書があります。英語だけではなく、ほとんどの言語について、辞書が作られており、辞書を引けば日本語の対訳を知ることができます。

しかし、江戸時代から明治時代にうつったとき、大量の英語を含む外国語が日本に入ってきて、対訳となる日本語を探すことは大変な作業だったそうです。物の名前、例えば『赤い丸い果物』を指して、英語話者が "apple" と呼び、日本語話者が「りんご」と呼べば、それは容易に一致させることができたことでしょう。ところが、外国語とともに、日本にはそれまでなかった概念も国内に入ってきたことにより、日本人全体にわかりやすいような日本語を作り出す作業が必要だったそうです。そして、その作業は、膨大な時間をかけてなされたそうです。


またまたまた、朝の連続テレビ小説「あさが来た」の話です。

時代背景は、江戸時代から明治時代への激動の頃。開国後、知らない概念に戸惑う人々の様子がとても丁寧に描かれていて、話の筋とは少し逸れたところでしたが、興味深いシーンがいくつかありました。例えば、イギリス帰りの人が "civilization" と言っても、当時は日本語に「文明開化」という言葉がなかったので、それを聞いた人は「シビレゲイシャ?」と言っています。また、"(a) big company" も同様に「大会社」がなかったので「ビックリなカッパ?」と言っていました。聞いたままを発音し、聞いた音のままを想像の世界で理解していたのでしょう。

このようにして、この時代にはたくさんの新しい日本語が生み出されたそうです。この頃、日本人の日本語能力は大変に上がったと言われています。それを推し進めたのが、福沢諭吉であり、馬場辰猪だったそうです。

そう思うと、辞書というものが、当時の人の尽力によって作られた貴重な物だという気がしてきます。


さて、明治時代の日本語能力の話は、現代の私たちの英語教育に通じるところが大いにあるのですが、長くなりそうなので、最近読んだ本を紹介しつつ、またの機会に書きたいと思います。


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