パターン化と沖縄方言(仮説)
何年か前に流行った「○○ラー」という言葉。誰か有名人を真似る人のことを表した言葉ですが、元々は安室奈美恵さんの「アムラー」が発祥だったようです。アムロさんのロ(ro)+○○の人を表す "-er" が組み合わさって、"rer (ro+er)" が語尾についたようです。これが派生して、「シノラー」、「ナオラー」などという言葉もできたようです。
この○○の人という言葉は、英語では"-er" (teacher 教師)だけでなく、前の言葉によって"-or"(actor 俳優) や"-ar" (liar うそつき) などもあります。が、発音は、すべて「最後の子音+r」(カタカナでは「子音+アー」)の音になります。主にフランス語借用の人を指す言葉には "-ian" "-enne" "-ean" "-arian" "-ician" などもあります。(例:historian 歴史家)
同じように、「○○の土地の生まれの人」「○○の土地のもの」を表すときは、「土地の名称+an / ian」が多く使われます。(例:Chicagoan / Hiroshiman)
これらをパターン化させると、「○○する人」や「○○から来た人」という意味の大抵の言葉を作ることは、難しいことではないのでしょうか。
沖縄方言で「○○する人」という意味で、接尾辞として「やー」や「あー」をつけることがよくあります。(例:「にーぶい(眠い)」+「やー」→「にーぶやー(眠そうな人)」)
どうやらこのような方言も、同じようにパターン化して、いろいろな単語ができているようです。
沖縄弁で「アメリカのもの」「アメリカ人」を指すとき、「あめりかー」という言葉があります。これも、上記のように、「アメリカ」+「あー」で「あめりかー」になったのかもしれません。英語はというと、"America" は土地なので、"-an" がつき、"American(アメリカン)" になるはずで、"Americar" とはなりません。
しかしこの「あめりかー」、あくまで仮説ですが、英語の"-er"のパターン化から生まれた言葉ではないかとも思えるのです。
沖縄史という観点から見ると、英語がとても身近にあった年数が長かった故に、今でも「ウォーラー(水)」「パーリー(パーティー)」という言葉は残っています。これは、英語発音がそのままカタカナ語になっていて、英語が耳から入ってきたことの証しと言えると思います。耳から入ってきた言葉に理屈はありません。英語 "-------er" を、繰り返し聞いている人が、【「○○する人」という言葉には、すべて "-er" をつければいいのだ】というパターン化を理解したというのなら、「あめりかー」という沖縄弁がそこから生まれても不思議ではないと思うのです。
沖縄弁では「ふらー」という言葉もあります。(「ばか」「まぬけ」という意味の、あまり良くない言葉です。)これも、"fool (まぬけ)" +"-er" で "fooler" という言葉から来たのではないかと、勝手に思っています。(本来、"fool" はそれだけで「まぬけ者」という人を指す単語です。)
これらはあくまで仮説ですが、新しい言葉や方言が生まれたルーツを探っていくと、これから生まれるであろう新しい言葉の方向性も探れるかもしれません。
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