miss と escape
沖縄では、ものすごく驚いたときには懐からまぶい(魂)が抜け出てしまうので、「まぶやぁ、まぶやぁ」といって魂を呼び戻す風習があったそうです。(他の言い方もあり。)
また、くしゃみは悪霊の仕業と考えられ、くしゃみをしたときには「くすけぇ(クソ食らえ)」と悪態をついて悪霊を追い払う風習があったそうです。今でも、年代や地域によっては、その風習を守っている方もいらっしゃるのではないかと思います。
アメリカにもそれらと似たような風習があります。くしゃみをしたときには魂が抜け出て、その魂を悪霊が奪いに来るので、それを防ぐために、周りにいる人はくしゃみをした人に向かって "(God) Bless you!"(神のご加護がありますように!) と声をかけます。そうすると魂は、無事にその人の体に戻るのだそうです。(深呼吸して、魂を吸い込むことも必要なのではないかと思います!)
そのときの、「魂が抜ける」という表現を、アメリカ人のお友だちに聞いてみました。
"Soul escapes." だそうです。
そこで、"I miss my soul." のように、"escape" の代わりに "miss" は使えないのかと聞いてみました。
すると、"miss" は、話をする人(主格)と対象となる人(目的格)が別々の場所にあること、そしてなんらかの感情が生まれる(さみしい、無念など)ようなイメージである。"escape" は、主格と目的格が同じ場所にあって、一方がもう一方から離れていくイメージである。と教えてくれました。
なるほど "I miss you." にしても "I missed the bus." にしても、"miss" を使うことに納得。そして先ほどの「魂が抜ける」は "escape" がピッタリだと思いました。
動詞を覚えるとき、その用法や意味に焦点を当てようとしますが、その意味が成り立つ状況や語感をつかむことも大切だと思います。例え、同じ日本語の意味がついていたとしても、それぞれの動詞の持つ背景は違うということ。そのことを頭に置きながら辞書を調べると、また違った視点で動詞を見ることができるかもしれません。
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