自分の言葉は自分で選ぶ
最近は、翻訳アプリや自動翻訳機が便利に使えるようになりました。
約6年前に家庭教師をさせてもらっていた受験生クンは、とても英語が苦手で、英語は勉強しなくても、そのうち素晴らしい翻訳機械が開発されるに違いない!(だから英語の勉強はしたくない!)と豪語していましたが、まさしくそんな時代がやってきました。(彼はそう言いながらもがんばって、桜を咲かせました。)
ただ、便利に使えると言っても、翻訳機は決して万能ではありません。
日本語の作文を翻訳アプリを通してから英語の作文で見てみると、支離滅裂な文章ができあがることはよくあることです。なぜかというと、日本語には同音異義語が多いこと、日本語の文にはしばしば主語が省略されること、そして文における日本語と英語の語順が全く違うということなどが挙げられると思います。
例えば、この間のレッスンで出たおもしろ翻訳英作文には、こんなものもありました。「ノリが良い」は "A glue is good. (糊が良い)" という英語に変換され、「○○さんのために、ごはんを作りました」は覚えられないほどおかしな文になっていました。
しかし、翻訳アプリは悪者ではありません。いつもいつもおかしな文を作り出すわけではなく、正確に訳してくれるときもあります。
それでもなお、言葉を機械に選んでもらってもいいのだろうかと思うのです。
どんなに間違った文法でも、どんなに言葉足らずな文章であっても、その人が選んだ言葉というのは、思い入れがあると思うのです。強い気持ちが込められた言葉や文章は、人の心を打ち、記憶に残るものだと思います。そういった強いメッセージを送り、受け取れるのは、人としての特性ではないでしょうか。
英語であれ、日本語であれ、はたまた他の言語であれ、自分の選んだ言葉を発するということは大きな力を持つと思います。だから、まず書いてみる、まず話してみることをレッスンではオススメしています。自分の知っているありったけの単語を総動員して、言いたいことを伝えてみることを勧めたいのです。修正はそれからでいいと思うのです。
(自分が英作文をするとき、間違いだらけで落ち込むときもありますが、それでもよいと自分自身にも言い聞かせています。)
英作文を添削させてもらうとき、その人がどういう気持ちでこの言葉を選び、文章を組み立てたのかを想像しながら作業していくのが、楽しみの一つでもあります。その人の選んだ言葉を生かしつつ、修正していくことは、私にとってはとても難しい作業でもあります。
その人の個性の表れた言葉を目にすることにより、私にとっても新たな言葉の世界を広げることができているように思います。
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