講演会備忘録 @ 沖縄外国文学会
去る土曜日、大津由紀雄先生の特別講演「破綻に向かう英語教育を救うためにすべきこと」を聴きに行ってきました。
小学校での英語教科化(領域扱いか教科扱いか)、中学校高等学校でのコミュニケーション英語を目的とする英語授業、英語による英語授業の弊害、大学での就職対策用の英語試験対策授業への偏重という英語教育の(あまり明るいとは言えない)現状分析から始まりました。分析結果は、自分の考えを伝えられない、相手の考えを理解できないという、言葉本来の使い方ができないというものでした。
中長期的な対策として示されていたのは、英語教育という狭い見方から言語教育という広い観点に変え、外国語科と国語科の合科をめざす。それが、英語力のみならず、母語の運用能力をあげることに繋がるという方向性でした。
外国語と母語の間にある共通基盤が、ことばへの気づきに繋がっていく。直感が働く母語についての理解を深めること(母語についての意識化)により、より深い外国語の理解に繋がる。なので、外国語学習と母語学習の連携を図る重要性がある。というのが、具体的な内容でした。
さらに、英語教育は単なる外国語教育ではなく、ことば教育という意識転換が、今後ますます多言語化・他文化化してくる社会に必要であるという締めくくりでした。
具体例を交えた、とてもわかりやすい講演でした。「国際語なのだから、英語が使えれば良いと母語を軽んじてしまう」とか、「英語という一言語を使って何をするのかという言語運用の本来の目的を見失ってしまう」ようなことが、問題視されているポイントなのだと思います。
現場に降りてくる学習指導要領との隔たりもあるとは思うので、なかなか実現までは難しいかもしれません。しかし、学校だけではなく英語産業についても、外国語学習にどういう考え方が必要なのかという、個人のしっかりとした意識がますます必要になってくるような気がしました。
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