「平和」「戦争」に定冠詞 the は必要?
日本語の名詞には、その名詞が限定されるものか、数はいくつあるのか、単数か複数かといった区別はあまりしません。
英語の場合は、名詞の前に、その名詞が限定されるときは定冠詞 the、限定されない単数なら不定冠詞 a/an、数を表すには数詞 (one, two, ...)をつけます。さらに、その名詞が1つ以上であれば、名詞を複数の形に(その名詞によって、最後に s をつけたり、形を変えたり)します。
しかし、変形させない名詞が2種類あります。
1種類目は、習慣化しているものです。冠詞はつけず、単数で表します。
例)I go to school. (私は学校に行きます。)× the school
→この場合は、いつも行っている「学校」なので、the はつけません。
2種類目は、なにかの名前ではなく概念を表す場合です。この場合も、無冠詞単数で表します。
例)The technology has made progress.(科学は進歩しています。)× the progress / progresses
→概念は数えられないもの、しかも限定できないので、定冠詞 the はつけません。たくさん進歩しているようですが、1進歩、2進歩と数えられないので、複数にもしません。(辞書では、不可算名詞と書かれています。)
今日、沖縄では慰霊の日を迎えました。多くの人にとって、平和について思いを馳せた日になったことと思います。
このときの、「平和」も概念なので、無冠詞で peace と言います。
例)I pray for peace. (私は平和について祈ります。)
「戦争」war も同じです。
例)the renunciation of war (戦争放棄)
*ただし、「ある戦争」を指すときには、定冠詞を付けます。( 第二次世界大戦 the World War Ⅱ )
この「概念」というとらえ方ですが、以前、英語の先生があるテレビ番組で「概念とは、みんなが同じひとつの思いをもって使う言葉なので、限定させる必要もないし、(すでに共通のものなので)複数になりえない」というお話しをされていました。
「平和」を祈る気持ちも、世界中で共通のひとつのものだと思うと、心強い気がします。これから先も、この気持ちがバラバラになり、「平和」という言葉が複数形にならないことを祈るばかりです。
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