どうして、英語で「いただきます」という言葉がないの?
英語の初心者用テキストで一番初めに出てくる言葉は、対象年齢問わずほとんどが "Hello!" か "Hi!" という挨拶だと思います。なるほど、誰かに会う時はそう言うのかとわかると、他の挨拶もどういうのかという疑問がわく人も多いと思います。私もそうでした。
しかし、挨拶を学ぶことに多くの時間もテキストのページ数も割かれていません。というのも、英語には日本語ほど、たくさんの挨拶言葉がないからだと思います。
例えば「いただきます」「ごちそうさま」「お疲れ様」「お先に失礼します」「いってらっしゃい」「ただいま」などは、(似たような意味合いの言葉はありますが)ピタリと合う英訳はありません。
それは、日本語と英語の使われる文化的背景が違うからだと思います。(以下、私見。)
日本語文化圏(日本)はムラ社会なので、使われる言葉も相手主体のものが多いようです。例えば「お疲れ様」は「あなたは今日のお仕事をがんばって、さぞお疲れでしょう」のような気持ちが込められているのではないでしょうか。「いただきます」も「あなた(食物)のお命をいただきます」と作物や作ってくれた人への感謝を表した言葉です。ムラの中で自分の主張より相手を慮る気持ちを表してきたのが、これらの言葉ができた起源のように思われます。
対して、英語文化圏(例えばアメリカ)は個人社会なので、使われる言葉は自分主体のものが多いようです。なので、上のような相手主体になるような挨拶言葉はないのではないかと思います。
アメリカにいた時に何かの集いがあり、「今日は呼んでくれてありがとう。……ホニャホニャホニャ。」と別れの挨拶が長い日本人(私のこと。私だけではなかったと思いますが。)と "Bye!" の一言で帰っていくアメリカ人たちの違いに衝撃を受けたことを、今でも覚えています。国民性の違いと言うより、言語性の違いと思えば、今なら納得できます。
ですが、その違いに慣れたとはいえ、ムラ社会に住む私としては、そのあっさりした別れが今だに寂しい気もしているのです。
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